著者:北康利
出版:WAC

著者の北康利さんの本を読むのは、2作品目。綿密なリサーチと人物を生き生きと描く能力はさすがとしか言いようがない。

過去記事:
白州次郎 占領を背負った男:日本の絶体絶命のピンチを救った男の生き方
 
日本人ならほとんどが知っているであろう西郷隆盛。しかし、その人生と功績については、それほど知られていないように感じる。

この本では、その西郷の人生と彼が果たした役割について書かれている。そして、彼を中心とした幕末から明治維新までの流れが、簡潔にまとめられている。

島流しの刑に処されたかと思えば、藩や政府の中枢を担い、そして、最終的には賊として命を落とした西郷。

一方、天皇からの信任も厚かった彼の人生とはなんだったのか。
彼が果たした功績と果たせなかった夢。その哲学についてみていこう。

真の政治家に求められるのは、“何を守るために変革しようとしているのか”を見失わない冷静さと、相手を“赦す”心の広さだ。

耐えに耐えてきた恨みを晴らすといった小さいことよりも、斉彬の心を占めていたのはこの国の未曾有の危機をどう切り抜けるかであった。鴻毛ほども厭わない力は偉人に共通した美質である。

この大久保の如才なさを人は嫌う。しかし、大望というものは政治の中枢にいないと達成できないものである。

自分の生命を犠牲にすることなど鴻毛ほども厭わない覚悟こそ、西郷隆盛という人間の最大の強みである。

論を立てることの重みは今の比ではない。まさに命がけだったのである。

迅速かつ正確な情報の収集が適確な判断の基礎となり、西郷の決断力、実行力と相まって、時代を動かす原動力となっていたのだ。

譲歩しない政治家が強い政治家なのではない。大義のためには小さな面子を捨てられる政治家こそ強い政治家なのである。

武器購入や戦術指導は受けても、軍事介入だけは国家の将来のため断固拒否せねばならない。国家のリーダーとしての矜持が彼(徳川慶喜)にはまだ残っていた。

人の器の大きさは一体何で測るものだろう。指導力や構想力など、さまざまな要差が挙げられようが、“赦す力”の中にこそ、西郷隆盛という人間の器の大きさを見ることができるのではないだろうか。

“労は一身に引き受け、功は人に譲る”ことを心がけていた彼らしい。

政治家として必要な冷血を誰よりも多く持っていると評された大久保の真価が、いよいよ発揮され始めたのだ。降伏した者に思いやりの心を示した西郷と、降伏した者を見せしめとした大久保の間には、同じ郷中教育を受けた者とは思えない大きな隔たりがあった。

そのうち鹿児島県は新政府に租税も納めなくなり、あたかも独立国家の様相を呈し始めた。

西郷隆盛の無私の精神は、日本人の達した一つの頂点である。

名言


天は人も我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛するなり

今日の学びました




明治維新の成功は西郷なしにはありえなかった

人を赦す力は、その人物の器の大きさをあらわす

西南戦争で西郷が勝っていたなら、その後の日本はまったく違う国になっていた

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