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今年に入って読んだ面白い本を3つ教えて! に参加中!
上期に引き続き下期のベストブックをみていきましょう!


7月 ピケティ狂想曲の果てに・・・


7月は17冊も本を読んでいる。きっと本業のほうをサボっていたのだろう。昨年末あたりからピケティの『21世紀の資本』が話題になり、今年の前半は多くの雑誌で特集が組まれるなど大きなブームになった。しかし、あまのじゃくな僕はあえてピケティの奥さんの『なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか』を読んでみた。ブームに乗ったまことにバブリーな1冊でございました。


この月は読んだ量の割にいい本に出逢えていないのだけど、塩野七生の『ローマ人の物語 (5) ユリウス・カエサル-ルビコン以後』は素晴らしかった。塩野七生の作品は多く読んでいるのだが、この1冊はそれらの中でも群を抜いて面白い1冊になっている。

ローマ人の物語 (5) ユリウス・カエサル-ルビコン以後

ローマ人の物語 (5) ユリウス・カエサル-ルビコン以後

  • 作者:塩野 七生
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 1996-04


8月 新たな経済のあり方、教育のあり方を考える


正直に言うと今月も塩野作品を選びたいところではあるけど、さすがに3ヶ月連続はまずいよね、ということで違う作品を選びます。この月は珍しく小説『書店ガール 4 (PHP文芸文庫)』 を読んでます。基本的にはあまりフィクションは読まないのだけれど、本作や『ビブリア古書堂の事件手帖』など本屋の世界を描いた作品は割と好きなのです。


ここ数年、何冊も本を出していて話題になっている古市憲寿の本を初めて読んだ。『国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』では、日本では概ね肯定的に語られるフィンランドのあり方を当地の研究者の論文などをもとに再検討している。また『保育園義務教育化』なども大きな話題となった。


そんな中で、月間ベストブックとして選びたいのは『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)』 これは、2013年に刊行された『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)』の続編なのだが、これからの経済のあり方、コミュニティのあり方を考える上でとても勉強になった。
里海資本論  日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)

里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)

  • 作者:井上 恭介,NHK「里海」取材班
  • 出版社:KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015-07-09


9月 あなたの本棚はあなたを写す鏡である


「本棚を見れば、その人のことがわかる」といいますが、確かにその人の読書傾向はその人の趣味嗜好が現れます。僕の本棚を見てみるとサイエンスなど理系の本が少なく、歴史の本が多い傾向にあります。また、ここ数年、心理学や教育の本も増えてきました。(先生にはなりませんでしたが、一応教育学部卒です)


9月に読んだ教育系の本は『英語学習は早いほど良いのか (岩波新書)』『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」 (光文社新書)』です。 前者は、英語教育における神話、つまり早く外国語教育すればするほどよく、ある年齢を超えるとネイティブ並の能力を身につける事は不可能という説について検討している。後者は、現在の教育における病的な傾向について警鐘を鳴らしている。それにしても今年は「・・・という病」本の大量発生の年だったような気がするなぁ。


そんな9月の最優秀賞は『続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」 (講談社現代新書)』です。ここ数年、イスラム国について書かれた本やイスラム世界に関する本が増えているように感じる。たしかに日本人にとってイスラムはあまり身近な存在ではない。(だからといってキリスト教のことをよく知っているわけでもないのだけれど)しかし、今後の人口動勢をみるとイスラム圏の存在は無視できない。イスラム教そのものやその歴史についての知識は今後ますます重要になるだろう。


10月 その話信じてもいいのですか?


読書、あるいは何かを学ぶときに大切なのが複数の視点から物事を見ることだろう。同じ事について書いた本でも結論は全く逆であるということはよくあることなので、出来るだけ偏り無く学ぶためには特定の見方だけにとらわれないことが重要。


たとえば、この月に僕は『China 2049』『アメリカの世紀は終わらない』という2冊の本を読んでいる。 どちらもアメリカの政治的に影響力のある人が書いた本だが、そのトーンは大きく異なる。前者は、中国の脅威について書かれており、アメリカの覇権について悲観的に書いている。一方の後者は、そのタイトルの通りアメリカの強みにフォーカスして書いており、楽観的な見方である。どちらが正しいかということではなく、同じ物事に対して複数の見方があることを知ることを僕は大切にしている。


この2冊もとても良い本なのだが、今月のベストブックは『GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史』 だ。GDPという経済にそれほど興味の無い人でも知っている数字の歴史やその問題点について書かれている。GDPというのは、本当に影響力のある統計なのだが、現代の経済を評価する上ではかなりの問題点があることがわかる。



12月 ノーベルの間違いを指摘した物理学者の爆笑人生


いやいや、11月飛ばしてるやん、とつっこまれそうですが、あえてですからお気になさらず。12月はかなり前に上巻を読んだまま、下巻を読めていなかった『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)』をベストブックに選びたい。この本を読んだ人はわかると思うが、ファインマンという人は本当に面白く、みなから愛されるのも当然だとよくわかる。物理学者でノーベル賞も取っているのに、お笑い芸人並に面白い人って日本にいます?


また、僕は現在、4歳と0歳の子を育てをしているので 子育てに関する本にも手が伸びがち。この月に読んだ本では『ネイチャーエデュケーション』という本がよかった。僕は、基本的に塾いって勉強するくらいなら、自然の中で遊んでこい、という考えの持ち主なのでこの本は参考になった。少年よ、大地で遊べ!


11月 今年のブックオブザイヤー?


長いこと書いてきた2015年のベストブックについての記事もこの月で終わり。察しがついているとは思いますが、この月に読んだ本の中にベストブックオブザイヤーがあります。


その本は、『137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史』です。いやいや、2012年に出た本やんとつっこまれること必至ですがご勘弁を。この本は宇宙が誕生してから現在にいたるまでの歴史を記した本です。僕は、本を評価する際には、どれだけ面白かったか、どれだけこれまでの考え方を変えられたか、この本を書くのにどれだけの知的労働が必要だったかを基準にしています。


この本は、とても面白く勉強になるとともに、著者の労力も半端なものではなかったことがよくわかる内容になっています。僕はいままでに何百冊もの本を読んできましたが、この本はその中でも間違いなくトップ5に入るものです。これだけの本が3000円ちょっとで買えるのだから本って本当に素晴らしい仕組みですね。



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