スーパーなどのレジ係、レストランのコック、ホテルのフロント係、セールスマン…
これらの職業に共通していることはなんだろうか?
実はこれらの職業は今後オートメーション化されて消滅する可能性が高い職業とされているところである。


他にもバスの運転手、バーテンダー、保険の販売代理店員、会計士・会計監査役なども今後は人間ではなく、「機械」がその職につくようになるだろう。にわかには信じがたいことであるが、二十年後にはこういったことが現実になっているかもしれない。


当然、そうなれば多くの人は職を失い、収入を得ることができなくなる。そういった人びとは飢え死にするしかないのだろうか?わずかなエリートたちが世界を支配し、そうでないものは生きていくことすらできない地獄が待っているのだろうか。


いやいや、そうではない。そういった「機械」が私たちの職を奪うことがあっても、ちゃんとした仕組みがあればそこにはディスピアではなくユートピア的な未来がある、と論じているのが本書『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書)』である。


本書では人工知能にそれなりに詳しいマクロ経済学者が人工知能とそれが経済に与える影響について考察している。人工知能とは何か?どういった歴史があり、今後どのような発展をしていくのかといった人工知能に関する基本的な内容やそれが私たちの暮らしにどう影響するのか?人工知能が私たちの雇用を奪うとすれば、そこにあるのは天国なのか地獄なのか?といった興味をそそられる内容が書かれている。


本書の1・2章では人工知能の基礎知識、3・4章では人工知能と経済の関係、5章で人工知能とベーシクインカムについて書かれている。人工知能の基本的な部分がわかっている人は3章から読めばいいし、本書の最重要ポイントは人工知能ではなく、むしろベーシックインカムなのでそこが気になる人は5章だけでも読んでもらいたい。