6月もあっという間に過ぎて、今年も残り半分となりました。

ここのところ本を読む時間があまり確保できていませんが、後半もたくさんの本を紹介していきたいと思います。

それでは、6月に読んだ本をまとめておきたいと思います。

『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』



今後20年くらいのスパンで仕事とか社会保障を考える時に避けては通れないのがAI(人口知能)とベーシックインカムについての議論。本書は、その二つがどのように私たちに影響を与えるのかを教えてくれる。

新自由主義、マネー資本主義が行き詰った今、私たちは新たな社会のあり方を真剣に考えなくていけない。著者は、その一つのあり方を本書で提示している。生活に必要な資金はベーシック・インカム(以下BI)として全ての国民に配られ、人は儲かる仕事ではなく、すべき仕事に専念する。それが、著書が描くユートピアである。BIについては、予算の問題と心理・行動面への悪影響が懸念されるが、後者についてはBIが経済成長をもたらし、子供の学校での成績を伸ばし、医療費の削減にもつながっているという確かな反証をあげている。BIは予算面でも可能だというが、そこの記述はほとんどないので他の資料にあたるべきだろう。日本でのBIの可能性については原田泰の『ベーシック・インカム』(中公新書)に詳しいので、そちらを読んでほしい。

『仮想通貨とブロックチェーン』仮想通貨について学びたい人におすすめの入門書


インターネット誕生と同じくらいの影響を社会に与えるであろう金融革命。その中の中核となるのがブロックチェーンという技術。本書では、そのブロックチェーンと仮想通貨の誕生から今に至る経緯やその思想がコンパクトにまとまっている素晴らしい入門書。

仮想通貨って何だ?ブロックチェーンって何だ?という僕のようなアナログな人間にもおおよその全体像がつかめる基本書。特にこれらのイノベーションの良い部分だけではなく悪い部分・問題点にも言及している点で好感を持てる。本書を読んで感じたことは、たしかに仮想通貨は、現在の通貨制度、銀行のあり方を大きく変える可能性があるテクノロジーではあるけど、法律上の問題、そして民主的に運営されるがゆえのガバナンスの問題点などまだまだ課題がある。特にハードフォークというブロックチェーンが分岐するような事態は、信頼の根幹を揺るがすことになる。また、マイニングのあり方についても当初の理想からはほど遠いものになっているといえるだろう。これらの問題が解決されなければ、かつてのドットコムバブルのように仮想通貨やブロックチェーンを利用したサービスの多くは瓦解するだろう。

『不道徳な見えざる手』アダム・スミスの「見えざる手」を否定


2008年のサブプライム問題に端を発する金融危機以降、新自由主義の勢いは衰えてきている。本書は、ノーベル経済学賞受賞の二人によって、アダム・スミスの「見えざる手」を否定している。新しい経済学の胎動を感じる。

サッチャー、レーガン以降、世界で広まった「新自由主義」の間違いを指摘し、さらにいえばアダム・スミスの「国富論」における「見えざる手」を否定する。そんな大きなパラダイムチェンジを起こす。それが本書の目論見であろう。

著者たちは、規制なき、自由な社会がいかに「釣り師」(情報を操作したりして、人々に誤った判断をさせる人または組織)にとって楽園になっているか具体例をあげて説明する。そして、そういった「釣り」がときどき起こる例外的な事象ではなく、あらかじめこの世界に組み込まれているシステムの一部なのだと喝破する。

社会心理学者のチャルディーニは『影響力の武器』においてセールスマンや広告主たちがどのようなテクニックを使って私たちを「誘導」しているのかを解き明かし、その対抗策を示してくれた。同じように本書で著者たちは、私たちがどのように「釣られる」のかを解き明かし、それを防ぐための手段を提示してくれる。

《新版2017》本好きのためのAmazon Kindle 読書術: 電子書籍の特性を活かして可処分時間を増やそう!


アウトプットすることを前提に書かれている。Kindleを使うと何がどう便利なのかが書かれていて勉強になる。

キンドルを活かした読書法を紹介。タイトルに読書術とあるが、メインは「どうやって読書をアウトプットにつなげるか?」「そのためになぜキンドルが優れているのか?」という部分だろう。それほど深く掘り下げてはいないけど、スタバでコーヒーを飲むくらいの価格でサクッと学べるのは良い。

『すばらしい新世界』みんなが幸福に生きる恐ろしい世界


安定していて、みんな幸せそうに生活している未来。しかし、何かがおかしい。

本書で描かれている世界はまさにすばらしい世界である。人々は現状に満足し、不満を感じることはない。大量消費、フリーセックス、ドラッグの溢れた世界で、「誰もがみんなのもの」が合い言葉になっている。厳格な身分制があるが、それすらも人々は当然のこととして受け入れるようになっている。T型フォードの発売以来、大量生産、大量消費を良しとする社会、そして、科学万能主義が蔓延する社会がいきつく未来が見事に描き出されている。ウェルズの『1984年』とともに20世紀のディストピア小説を代表する作品だ。訳、解説もすばらしい。

『幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』


橘玲の現時点での集大成。どうすれば、僕たちは幸せになれるのか。それを3つの要素に分解して解説している。かなり説得力があった。

「金融資産」「人的資本」「社会資本」という3つの土台(本書では人生のインフラストラクチャー)をうまく設計して幸せな人生を築こうというのが本書のメッセージ。それぞれの土台は「自由」「自己実現」「共同体=絆」という幸福の条件に対応している。この3つの条件をすべて満たすものを本書では「超充」と呼ぶが、基本的にここにはたどり着けない。そこで本書では、社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散することで充実させることを推奨している。つまり、全体像としては、金融資産で経済的自由を獲得すること、仕事は自分の好きなこと、得意なことにすべてを注ぎ込むことで自己実現と収入を得る道をつくる(できれば特定の組織に縛られないのが望ましい)こと、そして、強いつながりはミニマムな濃い関係(恋人や家族)におさえ、他の友情関係は貨幣空間(弱いつながり)に置き換えることが最強のポートフォリオになるというのが、著者の言わんとするところだ。さまざまな知見をベースに書かれているので説得力があった。